山本亭(耐震補強・改修)2016

再現困難な伝統技法を保存
柴又帝釈天の近くにあり、庭園の見事さで知られる山本亭は、大正末から昭和初めに数次にわたって建築された近代和風住宅である。現在は葛飾区が所有し、観光客のための休憩施設などに活用されていたが、このほど、耐震補強と長寿命化を主体とする改修工事を行った。
耐震補強は、座敷空間の庭園への開放性を損なわないように、一見してどこで補強がなされたかわからないように隠れた部分で行った。既存の真壁軸組内に構造用合板の耐震壁を設けた上に土壁仕上げを再現し、小屋裏に水平構面を設け、耐震壁に見合った布基礎を設けた。壁のない座敷南側軸組みには仕口ダンパーを設けている。
小屋組の平面剛性を高めるため、天井裏に水平構面を設けている。このことにより、瓦葺き屋根の野地に用いられる伝統的な技術であるトントン葺きを保存することができた。
長寿命化については、設備更新を主体とし、内外装材の更新は劣化部の取り換え程度として、経年による風格を損なわないこと、再現の困難な伝統技法を保存することに努めた。

市川達夫

Data

所在地
東京都
主用途
観光施設
事業主
葛飾区
建築主
葛飾区
施工
金子工務店
電気:大誠電設
空調:東芝エレベータ
構造
W造
規模
地上2階
面積
敷地:4,076.96㎡
延床:463.07㎡
建築:426.42㎡
竣工
2016年12月
『建築画報372号』(2017.9)より抜粋