ホーム > ライブラリー > 326号(2007年11月)>信頼をつないで

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信頼をつないで
中山哲次:伊藤建築設計事務所 常務取締役 東京事務所所長(1974年入社)
小田義彦:伊藤建築設計事務所 常務取締役 名古屋事務所所長(1975年入社)
上西真哉:伊藤建築設計事務所 名古屋事務所 技師(1999年入社)
池野啓悟:伊藤建築設計事務所 東京事務所 技師(2000年入社)
吉野 宏:伊藤建築設計事務所 東京事務所(2004年入社)
山本貴史:伊藤建築設計事務所 名古屋事務所(2006年入社)
司会 櫻井旬子(本誌発行人)

■40周年を迎えて

司会

伊藤建築設計事務所が40周年を迎えられました。まず、これまでを振り返ってのご感想や事務所への思いから伺いたいと思います。


中山 私は入所して33年になります。私が入った頃の東京事務所は7人でしたが、今はその3倍に増えているし、やっている仕事も変わってきている。ここ十数年で商業施設が非常に多くなりましたが、街づくり三法などの法改正があってこれから扱う建物の用途がかなり変わってくるのではないかということで、今後、今の若い人が商業施設以外にもいろいろな建物の設計に関わることができればと思っております。

小田

名古屋は多岐にわたる建物の設計と監理をやっています。私が入社した当時からいうと、顧客の顔ぶれは大きく変わってきているし、当時ほとんどは更地に建物を新築していたわけですが、昨年実績でいうと新・増築物件は全体の1割未満です。ほとんどが増改築・改修、あるいは1981年の耐震基準改正以前にわが社で手がけた建物がたくさんありますが、その耐震診断、補強計画・補強設計、それに伴う改修という仕事が、阪神大震災以降は特に増えている。今後設計事務所の仕事は、既設の建物を調査して、どうやって改修していくかというヨーロッパ型に移行していくのではないかと考えています。
もう一つ、一番大きく変わってきたことは仕事のテンポですね。われわれが入社した頃は、(現取締役の)市川さんが一日じゅう階段の手摺りをスケッチしていたりとか、私も入ってすぐの頃に「階段の手摺りとトイレが設計できれば一人前だ」と鋤納相談役から言われたことを覚えていますが、今は若い人たちのほとんどが物件を「こなす」という仕事の仕方をしていて、大変だなと思います。


上西

私は中山常務が入社した年に生まれたのですが(笑)、99年入社ですので、ようやく10年目になるんだという実感のほうが大きいです。私は最初の勤務地が東京事務所で、それから名古屋事務所に転勤してから某自動車メーカーに3年間出向して、2年前に名古屋事務所に戻ってきましたが、企画、設計、現場、出向中にはお施主さんの中での仕事、それぞれの場をひと通り経験して、ようやく建築という仕事の全体が見えてきたような段階だと思います。それでも、10年20年のお付き合いのあるお施主さんに説明に行くと、「伊藤設計さんだから、私の言うことがよくわかってくれる」と言っていただけるのは、40年の実績から得た信頼なんだなと思って、この信頼をこれからも大事にしていかなければいけないと、その責任を感じているところです。


池野

私は小田所長が入社された年に生まれたのですが(笑)、会社は30年がワンサイクルという話で、40周年というのはそれだけ信頼を受けてきたんだなと思います。私は就職氷河期に入社したので、東京事務所の中ではめずらしく住居系の仕事や木造のものも手がけているし、仕事の仕方も、一日じゅう椅子のことを考えていた日もあって、ほかの人より恵まれた環境にあるなと思います。今は結構忙しく仕事をしているので、時代の差というか、仕事内容もこの8年間でも大きく変わったなと思います。


山本

私が昨年度末に改修で手がけた物件は私が生まれた年に伊藤事務所が設計した物件でして、自分と同じ24年たった建物を手がけるとは思ってもいなかったので、40年という歴史をこれから先は自分が受け継いでいかなければならないと、責任の重さを感じました。今やっている病院の改修も、私が3歳か4歳のときに竣工した建物でして、これから先こういうことが多くなっていくだろうし、建築基準法・建築士法改正の影響でより社会の目も厳しくなっていくと思うので、今までつちかってきた信頼を壊さないようにやっていきたいと思っています。


吉野

事務所を立ち上げてから安定するまでは、すごく大変だったんじゃないか。一つの企業から継続して仕事をもらうのも難しいし、その信用を維持して40年間続けてきたということは、やはりすごいことだなと思います。私も東京でショッピングセンター、スポーツ施設、事務所の改修、工場の改修、いろいろな物件をやってきたのですが、CAD化などで仕事のスピードが速まっているので、まだまだこれから修業しなきゃいけない。40年という歴史に恥じないようにやっていかなければいけないと思っています。



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