ホーム > ライブラリー > 264号(1997年8月)> 建築設計プロフェッションの確立をめざして

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建築設計プロフェッションの確立をめざして
宮崎 秀樹 参議院議員・医学博士
鋤納 忠治 伊藤建築設計事務所 代表取締役会長

■設計にもインフォームド・コンセントが重要

鋤納 いま、先生は医療制度の抜本改正問題など、国会で大変活躍しておられますが、お医者さんというと誰にでもすぐわかる職業ですよね。先日、高名な弁護士の中坊公平さんが、欧米の3大プロフェッションというのは医師と弁護士と僧侶だと言っておられた。それらはすべて人の不幸に関わるという点で共通した職業であると。すると建築家というのは、あまり人のために役に立つプロフェッションでもないのかなと思うのですが。

宮崎 いまの世の中でそんなことを思っている方はいないんじゃないですか。阪神・淡路の大震災が起きまして、構造物に対する関心が高まってきていますよね。私たちは国会という特殊な世界におりますが、震災復興の議論のなかで、環境問題と市街化・都市化の問題、住宅・居住の問題は特に重要で、これからお金をかけるべき所にはかけなくてはいけない、と思っております。ここに手を抜くと後で大変なことになる。それから既存の建物についても、マンションなど新しい共同住宅のあり方に皆さん関心を持つ様になった。災いを福に転ずる一つのきっかけになったと思いますね。

鋤納 たしかに、意識のなかに地震に対する備えというのは着実にできました。WTOあたりでは、これからは建築の建て主も設計者も施工者もそれぞれの立場での責任を持たなければいけないと言っています。従来設計というのは建設省がつくった建築基準法を最低限、守って建てれば良いとされていた。ところが阪神・淡路大震災の時に、それでやってきた建物が壊れてしまった。じゃあ、いったいどこまで丈夫な家をつくったらいいのか。建築は経済行為でもありますから、建物の強さにランクづけをすることも必要になってくるでしょう。お医者さんの世界で言うインフォームド・コンセントみたいな事が建築の設計者にも必要になってきました。

宮崎 そうですね。それと同時に、情報の開示等も必要になってきますね。われわれの世界もそうですし、役所もそうだし。すべてがそういう時代に入ってきたということでしょうね。


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